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消えたサンジを見つけたのは、暗い公園の片隅だった。 自分の荷物を抱え込んで蹲る背中は小刻みに震えていて、とても小さかった。 「お前ぇ、ずっとここにいたのか?」 顔を隠すように俯いたサンジは、頬を伝う涙を慌てて拭って口を噤んだ。 つい先ほどまで聞こえていた嗚咽は小さな喉の奥に閉じ込められて、窮屈そうに喉が鳴る。 小さな身体で精いっぱい虚勢を張る姿が、ゾロの間違いを気付かせてくれた。 サンジはしっかりしているように見えて、まだまだ子供だった。 本当は母親と父親の愛を両手に余るほど与えられて然るほどの、ほんの子供だったのだ。 「わりぃ…、見つけらんなかった」 「べ、べつに使用人があやまることねぇだろっ」 まるっこいきらきらした頭に手を伸ばそうとするが、サンジは益々身体を背ける。 それしか術を知らないみたいに、ゾロを拒絶して強がって、寂しさを隠す。 「お前ぇを置いて学校行っちまって…」 「いかなきゃだめなんだろ!」 「守るって、お前ぇを独りにしねぇって、約束したのに」 「まもってほしいなんていってねぇっ」 「お前ぇのこと、泣かせちまった」 「泣いてないっ!!!」 ゾロの言葉に一歩も引かないサンジが、大きく叫んだ。 突然のことにしばし唖然としたゾロは、言葉を失う。 「ないてなんかねぇ…っ!ひとりぼっちも…っ、さみしくねぇ…!」 「……お前」 「だけどおれはひとりじゃなにもできない、それじゃあ母さまといっしょだ。なにもできずに死んだ、かわいそうな母さまと、いっしょだ!生きてたって、死んだって、なにも変わらない…っ!」 閉じ込められていた想いが、溢れて零れ落ちるように次々と言葉になって飛び出す。 この幼い少年がひた隠しにしてきた孤独や悲しみは、こんなにも大きかった。 それに気付けずに、独りきりあの狭い部屋にサンジを置いてきてしまったなんて。 独りになる寂しさを、誰よりも知っているはずの自分が、サンジの孤独に気付けなかった。 いつの間にか、独りである寂しさを忘れたくて見ないふりをしていた。 それはゾロをいつも弱くする感情でしかなくて、ずっと邪魔だと思っていたはずなのに。 「…ひとりになっちまったら、誰だって寂しい」 「っおれにさわるな…!おれは、おれは…っ」 「分かってる。大丈夫だ、大丈夫。…お前ぇは、お前ぇだ」 ぼろぼろと涙を流してもまだ膝の上の拳を解かず、必死に涙を堪える小さな身体を抱きしめた。 言葉で気持ちを伝えるにはゾロは不器用すぎて、それ以上、もう何も言えなかった。 ただ今は独りきりではないと、肌で感じてくれさえすればいいと。 ゾロのように、寂しさを押し込めて飲み込んで、いつか忘れてしまうような人間にはなって欲しくないと、そう思った。 |